それは数年前、早春の出来事でした。
ある日の夜、突然の霊感が全くない私が金縛りにあいました。
半分眠りに落ちている状態なのに、私の右腰の辺りには誰かが座って、私の右腕をつかんでいることに気づきました。
それは影のように全身が黒だったけど、なぜか男性だと感じました。
幽霊と遭遇した時、「私は助けることができません」または「ついてこないでください」というのが問題を回避する方法と、そういう方面のサイトで読んだ記憶があります。
その時は恐怖よりも睡眠を妨害された怒りが湧き上がり、近所に聞こえる程度の声で「出て行け!」と追い出そうと思いました。
大きく息を吸おうと···しましたが、金縛り中なので息が吸い込めませんでした。
やっと出せたのは、「で···て」(出て行け)「う···で」(腕を放せ)程度の情けない夢うつつな声。
私、自身に腹が立ったが、いつも一緒に寝る黒猫が何のアクションを取らないことに怒りが倍増。
頭に血が上ったのか、意識を失った。
そして気がついたときには既に影は消えていました。
起きて部屋の電気をつけると、枕元の黒猫が面倒そうな顔で私を見ていました。
右腕には掴まれた跡や床に男の痕跡などはありませんでした。
「夢だったのだろうか?」
その時「かちゃんかちゃん」「かちゃんかちゃん」
家で最も臆病なチーズ色の虎柄の猫が木の板の洗濯バサミをくわえ置く行動を繰り返していました。
今まで硬いものを噛んで遊んでいたのを見たことがないのに
まるでわざと音を出そうとしているのではないかと、思いました。
「どうしたんだろう?」
気分が悪かったけれど、そのままただ眠りました。
朝になると、昨日の夜のことは夢としか思えませんでした。
布団から出て、ベランダのカーテンを勢いよく開いたとき、足元にとぐろを巻いている蛇が見えました。
「わっ」
思わず叫んで後ろに跳び上がりました。
しかし、同時に頭では
「まだ蛇が出てくるには、寒すぎるんじゃない?」と思いました。
再び見ると、当然のヘビのようなものはいませんでした。
カーテンを飛ばされたとき、影がそう見えたのか、もう一度試してみても
そんな風に見える影はありませんでした。
どんな形か思い出してみると、···薄い半透明の灰色···とぐろを巻いている
「ちがう。ヘビではない!ロープだ」
「足元に置かれている長いロープ」
昨晩の出来事は夢ではなかったと確信しました。
最近、近くの山で首をくくって自殺した男性がいました。
もしかしたら、その人が何かを訴えたかったのかもしれません。少し寂しい気がしました。
その後には、彼が現れたことはありません。