その頃、結婚を考えていた彼氏がいたが、結婚を避けるようになった。
私は毎日のように彼氏の職場に電話を攻撃。
結婚するの、しないの、そんな感じで追い詰めていた。
そんなある日、彼はいきなり「海を見に行こう」と優しく言った。
久しぶりのことなので、急いでお弁当を作って意気揚々と出かけた。
途中でガソリンスタンドによって給油。
いつも満タンにするのに、その日は何故か10リットルだけ給油する彼。
どうして?
10リットルだと、行きでなくなるだろうに…
給油中、後部のトランクでリフトのハンドル部分の鉄棒を取り出し、何度も振り回すのがバックミラーで見えた。
どうして?
その鉄棒を運転席とドアの間に置いておく彼。
どうして?
ところが、海岸に到着すると、今度は防波堤に沿って全速力で行ったり来たりした。
どうして?
防波堤コンクリートの端のギリギリで急停車することを何度も繰り返す彼。
どうして?
その人と、結局に強圧的に結婚した。
彼にじは25mプールの底を一度も息せずに泳ぐ特技があることを知りました。
そして、数年後に離婚。
ある夏の日、家で新聞の女性コーナーを読んでいた。
そこには、車が海に落ちた時に水中で車の窓を破るための鉄棒が
最近の自動車愛好家たちの間で売れているという話。
その時、今までどうして?どうして?と過ぎていった過去の事がパズルのように繋がった。
あ、そうか…殺されそうだったんだな、そんなことは夢にも思わなかった···。