東西冷戦と呼ばれた時代は、核戦争の可能性が最も現実的でもあった時代です。
万一核戦争が起こった場合に備えて地下には数多くの核シェルターが建設されました。ロシアの首都、モスクワ地下にも、そんな冷戦時代の痕跡と言える、多くの地下空間が残されています。
■博物館になった地下指令基地『ブンケル42(Bunker42)』
冷戦時代、東西各国は万一核戦争が勃発した時に備えて、防備の体制を整えていました。
核戦争における防備の重要な役割を果たすと考えられていたのが、核シェルターです。核シェルターの多くは、核攻撃に耐えられよう地下に建設されていました。
その中には数週間から数カ月分に及ぶ水と食料が備蓄され、全面核戦争においても、人間が生き残るための設備が整えられていました。
個人や家族といった少人数が生存するための小型のものから、軍事用に建設された大型施設まで、数多くの核シェルターが建設されたと考えられます。モスクワ地下に残る大型核シェルターのひとつ『ブンケル42(Bunker42)』もそのひとつです。
この『ブンケル42』は核戦争勃発時に、長距離航空部隊の臨時指令基地として利用されるための建設された大型の核シェルターで、その総容量は7000立方メートル、深さは地下65メートルに及びます。
『ブンケル42』は現在では冷戦時代の象徴として博物館として公開され、観光名所のひとつにもなっています。
■どれだけの核シェルターが存在するのかは不明
しかし、当時建設された核シェルターのすべてが、その存在を明らかにしているわけではありません。
モスクワの地下には、非常時に供えて政権幹部が建設させたさまざまな施設が残されていると考えられ、中には秘密の地下鉄も存在していると言われています。また帝政ロシア時代にロシア皇帝が建設させた地下図書館などもあると考えられていますが、その実態の多くは謎に満ちています。
放置され、老朽化した施設も多く危険であると考えられるため、当局はこうした地下施設への立ち入りを禁止していますが、大都市の地下に眠る謎の空間を発見しようと地下施設を探索、無断侵入しようと試みる『ディッゲル(発掘者)』と呼ばれる探索者が後を断ちません。
また、このような地下施設を発見した違法難民や犯罪者が隠れ家として住み着いてしまい、犯罪の温床と化した事例もあるといいます。モスクワの地下にはそのような危険な地下空間がまだ数多く存在すると推定されています。
■ディッゲルが撮影した不気味な地下空間映像の数々
YouTubeを探すと、ディッゲルたちがアップした数多くの地下施設の不気味な映像を発見することが可能です。
人の気配の無い地下空間に残された大量の物資やガスマスクが、この空間の不気味さをひきたてます。また、施設の電源が生きていることも謎です。あるいは、現在もなお、これらの秘密の地下空間を利用している「誰か」がいるとでもいうのでしょうか?
核戦争の恐怖の産物である地下シェルターが、今なお大都市モスクワの地下にその存在を知られることもなく眠っている。なんだかぞっとしない話ですね。
(おまけ)
上記の動画と同じ投稿者がオフィスビルに無断侵入した映像。突然、警報アラームが作動してしまい、慌てて逃げていく様子が緊迫感とともに生々しく映されています。