1979年に公開されたアメリカ映画『エイリアン』は、SFホラーの古典的名作として現在でも評価の高い作品です。
2012年には『エイリアン』の前日談を描く映画『プロメテウス』が公開されましたが、2017年9月にその『プロメテウス』の続編であり、『エイリアン前日譚』シリーズの2作目となる『エイリアン:コヴェナント』が日本国内で公開されることが決定しました。
■SFホラーの常識を覆した映画『エイリアン』
SFを題材にしたホラーの元祖は、イギリスの小説家メアリー・シェリーが1818年に発表した小説『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』であると言われています。
この小説『フランケンシュタイン』を元に多くの映像作品が制作されています。
特に1931年に制作された映画『フランケンシュタイン』に登場した怪物(一般的には“フランケンシュタイン”の名称で認識されるモンスター)はその造形で後世の作品に多大な影響を与えています。
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映画『フランケンシュタイン』以降、数多くのSFホラー映画が制作されましたが、次第にジャンルとしては行き詰まりを見せるようになりました。コンピュータグラフィクが発達する前の時代でもあったことから、SFホラーに登場するモンスターのデザインには自ずから限界があり、やがてその多くが陳腐化するようになっていったのです。
1979年に公開された映画『エイリアン』は、こうしたSFホラーの状況を打開し、再びSFホラーを人気ジャンルに引き上げた立役者とも言える作品です。
その人気の最大の理由は、作中に登場するクリーチャーのデザインにありました。スイスのシュルレアリスム画家、H・R・ギーガーによってデザインされた“エイリアン”は、機械と男性器という全く異なるモチーフを融合させた、それまでにはない、斬新で恐ろしく、そしてエレガントな姿の怪物でした。
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ギーガーによってデザインされたこの“エイリアン”は、それまでのSFホラーにつきまとっていた“陳腐”なイメージを一新、SFホラーというジャンルのブームを生み出したのです。
■『エイリアン』の前日談を描くシリーズの第2弾『エイリアン:コヴェナント』
1979年の第1作『エイリアン』以降、「エイリアン」シリーズは3本の続編と、派生作品の『エイリアン/プレデター』シリーズ、更に数本ゲームソフトが制作されています。
その大本となった第1作『エイリアン』の前日談を描いた作品が2012年に公開された『プロメテウス』です。
しかし、『プロメテウス』の監督であり、シリーズ第1作目『エイリアン』の監督も務めていたリドリー・スコットは『プロメテウス』に数々の未解決の問題点があったことを認めており、『プロメテウス』と『エイリアン』との間をつなぐ役割を果たす作品が必要であるとし、『プロメテウス』の続編となる『エイリアン:コヴェナント』の制作を発表した、という経緯があります。
特に、『プロメテウス』は『エイリアン』シリーズの一角を成す作品でありながら、『エイリアン』に登場したクリーチャー=ゼノモーフが登場しないことが多くのファンの不満点として上げられていますが、リドリー・スコット監督はこのことに関して「卵、フェイスハガー、チェストバスター、そしてビッグボーイと共に映画に戻ってくる」と言及、ファンの期待を集めています。