ゲームの開発期間が長くなるのには、いろいろな要因があります。
開発開始時点のハード性能では、当初企図したゲーム性が実現できず、ゲームの仕様から見直しが必要になったり、開発中に次期ハードの発売が決定され、対応機種変更の必要が生じた等。
2005年にPlayStation3用タイトルとして正式発表されたコーエーテクモの戦国アクションRPG「仁王」が12年越しの2017年2月9日に発売決定し、1月16日に公式アカウントから、マスターアップの報告がTwitterでツイートされました。
■“先輩”と呼ばれたゲームの数々
2016年11月29日に発売されたスクウェア・エニックスのPlayStation4用RPG『ファイナルファンタジーXV』は、発売から遡ること10年前、2006年5月にPlayStation3向けソフト『ファイナルファンタジー ヴェルサス XIII』として発表されました。
しかし、同作は発表の後、長く開発状況を伝える情報が途絶え、一時は開発中止の噂もささやかれるに至りました。
発表から7年後の2013年6月、『ファイナルファンタジー ヴェルサス XIII』は対応機種をPlayStation4とXboxOneに変更し、タイトルも『ファイナルファンタジーXV』に変更されることが発表されました。
当初、その物語の壮大さから連作シリーズ化も想定されていた同作ですが、最終的に一本のソフトで完結する形で2016年に発売される運びとなりました。
『ファイナルファンタジーXV』と同じ年の12月6日に発売されたソニーインタラクティブエンタテインメントのPlayStation4用ゲーム『人喰いの大鷲トリコ』も、開発に長期を費やした作品として話題になりました。
同作が最初に発表されたのは2009年、『ファイナルファンタジーXV』と同じく、当初はPlayStation3用ソフトとされていました。
しかしその後、開発の進捗状況に関する発表は途絶え、開発ディレクターを勤めていた上田文人氏が退社したという情報もあり、開発中止になったという噂が流れました。
2015年6月に『人喰いの大鷲トリコ』は対応機種をPlayStation4に変更して発売されることが発表され、最終的に2016年12月に発売されました。
『ファイナルファンタジーXV』や『人喰いの大鷲トリコ』のように、発売が長期にわたって延期される作品はネット上のスラングとして「◯◯先輩」と呼ばれ、最終的な発売が決定されると「卒業おめでとう」とも言われたりします。それは長期間に渡って発売を待ちわびるファンの期待を表す言葉とも言えるでしょう。
■黒澤明の遺稿を元に企画された『仁王』
『人喰いの大鷲トリコ』の7年や、『ファイナルファンタジーXV』の10年という製作期間を更に超えるタイトルが、コーエーテクモの戦国アクションRPG『仁王』です。
『仁王』は元々コーエーから『鬼(仮称)』というタイトルで2005年に製作発表されたタイトルです。
当初、この作品は映画監督の黒澤明の遺稿をベースに製作され2006年に公開が予定された映画とコラボする形で2006年発売予定として告知されました。
当初は「ロールプレイングゲーム寄りのアクションゲーム」として企画され、仲間と協力して戦うという要素があったそうです。
しかし、予定されていた映画は結局公開されることなく、同作の進捗状況に関する発表も途絶えることになります。
コーエーは2010年4月に別のゲーム会社であるテクモと経営統合、その後、テクモで『デッド・オア・アライブ』や『NINJA GAIDEN』といったアクションゲームのシリーズを製作していたTeam NINJAに開発を移行して改めて『仁王』の開発を行うことを発表。
しかし、一旦作り直された『仁王』は『NINJA GAIDEN』に似すぎているという理由から再びキャンセルされ、2015年に、もう一度作り直されることになりました。
結局、『仁王』は2011年にフロム・ソフトウェアが発売したアクションRPG『DARK SOULS』シリーズの影響を受けた高難易度のアクションRPGとして再制作され、2017年2月9日に発売されることが正式決定しました。
ゲーム機の性能が向上し、制作が複雑化するにつれ、『ファイナルファンタジーXV』や『人喰いの大鷲トリコ』、そして『仁王』のような“先輩”と呼ばれてしまう作品が生まれるのは、ある意味致し方ないことかもしれません。
しかし、ゲームファンとしてはできるだけ早く発売して欲しいものですよね。